<医療従事者向け詳細情報>

臨床研究名 ホルモン治療抵抗性再燃前立腺癌患者に対する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスG47Δを用いたウイルス療法の臨床研究の概要(医療専門家向け)
ウイルス療法とは ウイルスを腫瘍細胞に感染させ、ウイルスの直接的な殺細胞作用により腫瘍の治癒を図る治療法である。腫瘍細胞特異的なウイルス複製が得られるようにウイルスゲノムに人為的な変異を加える。遺伝子組換えウイルスは、腫瘍細胞に感染すると複製し、その過程で宿主となった腫瘍細胞は死滅する。増えたウイルスは拡散して周囲の腫瘍細胞に感染し、ウイルス複製→細胞死→感染を繰り返して腫瘍細胞を破壊する。正常細胞ではウイルス複製ができないため、正常組織は傷害しない。
G47Δとは ・三重変異を有する第三世代の遺伝子組換えヒト単純ヘルペスウイルスI型 (HSV-1)

臨床試験の概要 対象疾患 :前立腺非摘出で、ホルモン療法後に再燃した前立腺癌
(遠隔転移がある場合も含む。また抗癌剤ドセタキセル投与の既往は問わない)
試験デザイン:第T相。非治験。段階的用量増加。
投与方法 :経直腸超音波ガイド下に経会陰的(経皮的)に前立腺内に2カ所投与。1〜3週間の間隔をあけて複数回投与する。
用量増加方法:3例ずつ3段階で増量(1段階目:2回投与、2段階目:3回投与、3段階目:4回投与)。合計9例。
主要エンドポイント:安全性の評価。
評価期間 :観察期間: 投与完了後6ヶ月間、生存期間追跡: 2年間。
試験開始時期:平成25年5月下旬
主な選択基準 ・前立腺全摘除術を受けずにホルモン療法を行っていた前立腺癌患者で、ホルモン療法が無効となった患者。腹骨盤部CT検査や骨シンチグラフィーの画像検査にて遠隔転移を認める者も含む。
・20歳以上、PS(Performance Status)が0または1の患者。

 

選択基準の詳細情報

適格基準

  1. 前立腺全摘除術を受けずにホルモン療法を行っていた前立腺癌患者で、ホルモン療法が無効となった(注記1)と判断された患者。腹骨盤部CT検査や骨シンチグラフィーの画像検査にて遠隔転移を認める患者も含む。
  2. ホルモン療法無効と判断された後で前立腺癌の存在が病理学的に確認された患者。
  3. Performance Status (PS)が0または1であること
  4. 年齢20歳以上
  5. 6ヶ月以上の生存が見込まれること
  6. 主要臓器の機能が正常であること
  7. G47Δ投与後少なくとも6ヶ月間はバリア型避妊を実行する意思があること
  8. 文書でインフォームドコンセントを行う能力と意思があること。

注記1: ホルモン治療中であるにもかかわらず、血清PSAの有意な上昇(2週間以上の間隔での3回の測定において連続的に上昇)する患者を「ホルモン療法無効症例」と定義する。血中テストステロン値が1.0ng/ml以下であることも確認する。抗アンドロゲン剤を併用している症例では、投薬を中止し抗アンドロゲン除去症候群でないことを確認する。

除外基準

1)既往歴 @HIV陽性またはその既往
Aその他、医学的あるいは精神的異常のため、プロトコル治療を遵守することが困難であると思われる場合
2)臨床検査値 @白血球 ≦ 3.0 x 103/mm3、好中球 ≦1.0 x 103/mm3、血小板 ≦ 100,000/mm3、Hb ≦9.0 g/dl、INR >正常値の1.3倍。
A血清クレアチニン≧ 1.7mg/dl。
B肝トランスアミナーゼ (ASTまたはALT) > 正常値の4倍。
C総ビリルビンまたは直接ビリルビン > 1.5mg/dl。
3)併存疾患 @活動性のヘルペスウイルス感染の存在。
A前立腺癌以外の活動性の悪性腫瘍の存在。
B活動性でコントロールされていない感染症の存在。
Cアルコールまたは他の薬物中毒の存在。
Dコントロール不良または重度の心不全・糖尿病・高血圧・間質性肺炎・腎不全・自己免疫疾患など。
4)アレルギー歴 抗HSV薬(アシクロビル)に対するアレルギーの存在。
5)併用薬 @30日以内のドセタキセル等の抗癌剤の投与。
A30日以内の抗アンドロゲン剤の投与。
6)その他 @本研究参加前30日以内に未承認薬の治験/臨床研究に参加している場合。
A遺伝子治療またはウイルス療法の既往
Bその他、担当医師が不適切と判断する場合

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